伊邪那美命（いざなみのみこと）とは？どんな神様？逸話からご利益まで解説します。

伊邪那美命（いざなみのみこと）とは？

伊邪那美命とは、この世界に初めての神が出現してから16番目に夫の伊邪那岐命（いざなぎのみこと）と共に現れた女の神様です。

神々によって日本国土を形造るように命じられ、天高原（神の国）より地上に降り立ち日本の国土をはじめ、河川、山野、食物などのあらゆる神々を生み出した、日本の国土を作られ日本の八百万（数えきれないほど多く）の神様をお生みになった神様なのです。

黄泉津大神（よもつおおかみ）や道敷大神（ちしきのおおかみ）などの呼び方があります。

伊邪那美命の出生って？

世界の始まりにまず現れたのが別天神（ことあまつかみ）という５柱の神で、この神々は性別が無く姿形もはっきりしないのですが根元的な影響力を持つ神々です。

次に現れたのが神世七代（かみよななよ）という１２柱の神で、１２柱の神様の内、最初の２柱の神様は１柱で一代とし性別や姿形はありません。

それ以降に現れた神様は２柱の男女のペアで一代となります。

その最後に現れた神が伊邪那岐命（いざなぎのみこと）と伊邪那美命（いざなみのみこと）なのです。

伊邪那美命はどんな神様なの？

伊邪那美命の有名な伝説と言えば、「伊邪那岐命とは？」でもご紹介した黄泉の国の物語の他にも、伊邪那美命と伊邪那岐命の国造りのお話があります。

伊邪那美命と伊邪那岐命は別天神に漂っていた大地を完成させることを命じられ、天沼矛（あめのぬぼこ）を与えられます。

伊邪那美命と伊邪那岐命は天浮橋（あめのうきはし）に立って、天沼矛で渾沌とした大地をかき混ぜたところ、矛から滴り落ちたものが、積もって淤能碁呂島（おのごろじま）となりました。

伊邪那美命と伊邪那岐命は淤能碁呂島に降り立ち、天の御柱（あめのみはしら・天を支える柱）と八尋殿（やひろどの・広い殿舎）を建て、二人は結婚し子作り（国土形成と神産み）をします。

天の御柱を伊邪那岐命は左回りに伊邪那美命は右回りに巡り、そうして出逢った所で、伊邪那美命が先に「ああ、なんという素晴らしい男だろう」と伊邪那岐命に声を掛け、次に伊耶那岐命が「ああ、なんという素晴らしい女だろう」と伊邪那美命を褒め、二人は子作りを行いました。

しかし、最初に産まれた水蛭子（ヒルコ）と次に産まれた淡島（アワシマ）が不具の子であったため、別天神に理由を尋ねたところ、天の御柱を巡り出会った時に最初に声を掛けたのが女である伊邪那美命だったのがよくなかったからだと言われます。

二人は淤能碁呂島に戻り、もう一度天の御柱を巡り、今度は伊邪那岐命から声を掛け子作りを行い、数々の島と神々を誕生させるのです。

伊邪那美命の御利益とは？

伊邪那岐命と協力し、日本という国や八百万の神々を産み出した伊邪那美命は万物の母的存在ではないでしょうか。

また、伊邪那美命は黄泉津大神（ヨモツオオカミ）・道敷大神（チシキノオオカミ）として黄泉の国（死者の国）を支配する女王でもあります。

そんな伊邪那美命のご利益として一番に挙げられるのが子授かりのご利益ではないでしょうか。

その他にも延命長寿や恋愛成就、夫婦和合、安産祈願などが挙げられます。

伊邪那美命を祀る神社ってどこにあるの？

伊邪那美命は伊邪那岐命と共に祀られている事が多いのですが、ここではイザナミの名前の神社をご紹介したいと思います。

徳島県美馬市にある「伊射奈美神社」は数少ないイザナミの名前の神社で、主祭神もイザナミノミコトです。
「イザナギ神社」にはイザナミも併せて祀られることも多いので、あえて女神のイザナミを社名とする「伊射奈美神社」は、特殊な意味を持つものかもしれません。

また、神話にて比婆山に伊邪那美命が埋葬されたとあるのですが、現在の島根県安来市伯太町横屋にある比婆山の山頂に埋葬されたとされ、現在も御神陵と言い伝えられる古い塚があるのです。

ここにある「比婆山久米神社（ひばやまくめじんじゃ）」は、古来より、子授かり・安産の神社として信仰を集めています。

この比婆山にはいろいろな伝説があり、玉抱石（たまがかえいし）という穴の空いた石に触れ、伊邪那美命に祈願すると子宝に恵まれ安産になるという言い伝えがあります。

また、ちんちん井戸と言われる井戸の水を産湯に使うと、その子供は一生元気で健やかに育つという言い伝えもあります。

安産祈願にはぜひ比婆山を訪れたくなりますね。

伊邪那美命は万物の母神様

日本の国土を作られ日本の八百万（数えきれないほど多く）の神様をお生みになった伊邪那美命は万物の母神様と言えるのではないでしょうか。

また、伊邪那岐命をとても愛していて積極的に行動した伊邪那美命は、恋愛時の勇気の欲しい時にも力になってくれる神様ではないでしょうか。

あと一歩勇気がなくて踏み出せない時などに、伊邪那美命が祀られている神社にお参りに行ってみてはいかがでしょうか。